所長メッセージ

『遠野物語』の誕生から、百年の歳月が過ぎ去り、いま遠野とそこに生きる人々は、あらたな百年に向けて歩み始めようとしています。 遠野という、『遠野物語』を産み落とした土地こそが、やがて主人公となることでしょう。 そこに堆積している歴史や文化や風土をひとつひとつ掘り起こしながら、明日の遠野を創るための糧としなければなりません。

それらを丁寧に記録し、土地の記憶のアーカイヴへと育てていきましょう。 そして、そこから明日をデザインするためのたくさんの知恵や技を汲みあげ、再発見するのです。 いま、遠野文化研究センターが来るべき百年に向けて創設されます。 それは、たんに『遠野物語』を研究する場ではありません。 『遠野物語』を産んだ、遠野という地域の歴史や文化や風土を包括的に研究し、それを地域資源として生業や観光の現場に繋げていくことをめざします。

文化を生きられたままに継承するためには、人を育てること、地域社会を守ることが欠かせません。 思えば、遠野という土地の名前が、すでに大きなブランド力を秘めているのです。 だからこそ、それをしなやかに、したたかに活用することにしましょう。 『遠野物語』の、いや、遠野のあらたな百年を創るために――。

所長:赤坂 憲雄