遠野文化研究センター設立宣言

『遠野物語』の誕生から、百年の歳月が過ぎ去り、いま遠野とそこに生きる人々は、あらたな百年に向けて歩み始めている。遠野という、『遠野物語』を産み落とした土地こそが、やがて主人公となることだろう。そこに堆積している歴史や文化や風土をひとつひとつ掘り起こしながら、明日の遠野を創るための糧としなければならない。
それらを丁寧に記録し、土地の記憶のアーカイヴへと育てていく。そして、そこから明日をデザインするためのたくさんの知恵や技を汲みあげ、再発見することになるだろう。

遠野文化研究センターは来るべき百年に向けて、あたかも東北が厳しい試練にさらされている2011年の春に創設された。それは、『遠野物語』を産んだ、遠野という地域の歴史や文化や風土を包括的に研究し、それを地域資源として生業や観光の現場に繋げていくことをめざす。
文化を生きられたままに継承するためには、人を育てること、地域社会を守ることが欠かせない。開かれた市民参加の学びの庭を創らねばならない。

思えば、遠野という土地の名前が、すでに大きなブランド力を秘めているのではないか。だからこそ、それをしなやかに、したたかに活用することにしよう。 遠野のあらたな百年を創るために――。

遠野文化研究センター所長 赤坂 憲雄