mark 【第3回土曜講座「おどろき!遠野学」報告】


日時:平成30年7月21日(土)10:00~12:00
場所:遠野市立図書館1階 視聴覚ホール
講師:熊谷 航(遠野文化研究センター主任兼学芸員兼カッパ博士)
内容:遠野のカッパすごいぜ!教えてカッパ博士
 ※今回は通常の講座と異なり、演劇風の講座としました。以下はその内容です。

報告:
 遠野七曲り署勤続26年の大ベテラン・前川警部の元に一本の電話があった。それは河童の被害を訴えるもので、ホシは依然として逃亡中だという。
遠野のシンボル的存在である河童は、長年にわたって市民に対し悪行の限りを尽くしている。七曲り署では対策本部を立ち上げ、河童研究の第一人者である河童研究センターの熊谷カッパ博士を招き、対策法を仰いだ。

 キュウリを手土産に現れたカッパ博士はまず、全国的な河童の特徴を説明。キュウリや尻子玉が好物であることや、低身長にもかかわらず怪力であることなど、基本的なデータを提示した。河童は押す力が非常に強く、うっかり相撲をとるとそのまま川に落とされることもあるそうだが、身体の構造上「引き」には非常に弱いとのこと。万が一河童と相撲をとる場合には腕を引けば勝てる、と力説した。
 次に博士は、研究センターに寄せられた河童の被害状況を報告。馬を川に引きずり込む動物虐待・キュウリの窃盗・女性へのセクシャルハラスメント・結婚詐欺・殺人・乳児誘拐等々…この悪行の数々に前川警部は怒りを爆発させる。しかし証拠不十分であったり、既に示談が成立していたりと、逮捕は難しいとカッパ博士は唇を噛む。

 悪事を働く一方で、善良な河童もいるらしい。かつて陸前高田の横田町にあった遠山病院では、「横田軟膏」という秘伝薬が伝わっていた。これは、河童が悪戯のお詫びにと調薬法を教えたもので、傷口によく効くとされる。スライドでは調合に使用する道具も併せて紹介された。
 また宮守町の河童は、薬の作り方の伝授と引き換えに示談に持ち込んだ知能犯である。この薬は、喉の腫れやおたふく風邪に効くらしい。
 さらに、犯行現場を押さえられ、村人に確保された河童が「山に入る時に役立つ布切れ」の譲渡を釈放の条件に提案した、という証言も残っている。これは携帯すると、急峻な山道も楽々と歩くことができる優れものだそうだ。

 博士は、証言をもとに作成された遠野の河童のモンタージュ画像を公開。なで肩で頭に皿は無く、黒豆のような目、顔及び全身の毛が赤いなどの特徴を挙げた。ショッキングなこのモンタージュはまるで猿のようだが、実際『遠野物語』の著者・柳田國男氏は、河童の正体は猿ではないかと主張している。だがイタチ、カワウソ、ザシキワラシなど、河童の正体を巡っては多数の学説が提唱されているとのことだ。
 ザシキワラシ説を主張するのはY集落出身の佐々木喜善氏。佐々木氏は昔話を採集した際、河童=ザシキワラシ説を裏付ける重大な証言を数多く得ている。それによると、川で悪さをした河童が償いの下働きのために被害者宅に居つき、そのままザシキワラシになったとのことだ。謎は深まるばかりである。

 博士に具体的な被害防止策を訊ねると、河童が苦手としている猿や、鎌などの金物を上手く活用することが効果的だとアドバイスした。
 市民からの質問も多く飛び交い、河童との共生意欲が伺えた。
 遠野七曲り署の赤坂署長は、「今日は面白かったです。河童がお詫びの印として指をつめたそうだが、それがどの指だったのかをぜひとも知りたい。カッパ博士の今後の調査に期待します。…それにしても今日は一体なんだったのでしょうか(会場笑い)」と訓示を述べた。

 

博士     警部&巡査

長年の研究成果を公開するカッパ博士   前川警部と本官。遠野の平和は我々が守る。

 

署長&副署長    市民

訓示を述べる赤坂署長と宮田副署長       熱心に耳を傾ける参加者たち

 

  カッパ博士による防犯講座終了後、博物館で開催中の特別展「遠野物語と河童」の見学会が行われ、長谷川学芸員が解説を務めた。国立公文書館蔵の『水虎図説』や『日本山海名物図絵』といった極秘資料を、河童のパネルと共に展示。ケース内を跋扈する不気味な河童達、その禍々しい姿に圧倒され参加者は息を飲んだ。
 数ある資料の中でも一際注目を集めたのは、講座で一部紹介された河童のミイラである。

↓※以下ミイラ画像注意!!(モザイク加工済み)

 

 

ミイラ

 

  …おわかりいただけるだろうか。厳重なガラスケースに封印され鎮座するその姿は、水を含ませれば再び泳ぎだしそうな生々しさを醸し出している。このミイラは寶城寺(奥州市)の屋根の改修時に発見されたそうであるが、火難除けの水神として祀られたとでも言うのだろうか…?
 この特別展は9月24日まで。さらに、8月18日、19日には遠野文化フォーラム「なぜ、遠野はカッパなのか?」が開催され、河童づくしの夏となっている。この機会を利用し、遠野の河童について理解を深めてもらえれば幸いである。

                               遠野七曲り署 佐藤巡査

展示 全員集合 

 長谷川学芸員の説明を受ける参加者     対策本部メンバーと遠野新聞の記者

【平成30年度遠野文化フォーラム「なぜ、遠野はカッパなのか?」を開催します!】

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