mark <遠野文化フォーラム「なぜ、遠野はカッパなのか?」報告>


日時 平成30年8月19日(日) 開演13:00
場所 あえりあ遠野 交流ホール
内容
*昔話の語りで楽しむ「遠野の河童」
*認定証交付式/遠野こだわりの「語り部」、遠野遺産
*表彰/佐々木喜善賞、遠野文化賞
*遠野遺産活用事例発表
*カッパおじさんに聞け!「河童淵今昔物語」
*トークライブ「なぜ、遠野は河童なのか?」
 パネリスト     三浦佑之(千葉大学名誉教授・遠野文化研究センター顧問)
            西舘好子(日本子守唄協会会長・遠野文化研究センター顧問)
 コーディネーター  赤坂憲雄(民俗学者・遠野文化研究センター所長)
*カッパおじさん&カリンちゃん&くるりんちゃん大抽選会
報告:
 今年の文化フォーラムはカッパ尽くしのプログラムでした。
 オープニングを飾ったのは認定を受けた昔話の語り部による語りの実演です。昔話語り部の会会長・菊池玉さん、附馬牛小学校6年生の佐々木寧音さんのお二人に、カッパの話を披露していただきました。地元の語り部が紡ぐ不思議なカッパ譚に会場は一気に引き込まれ、フォーラムは幕を開けました。

 遠野こだわりの「語り部」に新たに認定された49名の認定証交付式では、代表として9名が登壇し、遠野産木材で製作された認定証が授与されました。今回は認定委員から推薦を受けた方が多く、頼もしい新語り部達に大きな拍手が送られました。
 
遠野遺産認定証交付式では、新たに認定された6団体7件に対し認定証が交付されました。今後、地域と市が一体となって「遠野遺産」の活用・保護が行われ、活性化に繋がることが期待されます。(認定団体は以下に記載)
 遠野文化賞は、遠野の豊かな文化資源を発掘、調査研究、伝承または活用し、文化の振興に寄与した人に授与するもので、今年の受賞者は、台湾国史館館長・呉密察さん、国立台湾大学教授・胡家瑜(※)さん夫妻です。故家瑜(※)さんは、同大学人類学博物館長として遠野市立博物館展「伊能嘉矩と台湾研究」の開催に協力。呉密察さんは、昨年遠野市において記念講演を行い、改めて伊能嘉矩の業績と今日の評価を紹介しました。お二人が示した、遠野市と台湾の文化交流への道筋は顕著であり、その功績から今回の受賞が決定しました。【(※)は旧字体】

 「日本のグリム」佐々木喜善の業績を記念し、遠野や『遠野物語』に関する自由な作品を募集しました。昨年を大きく上回る78点の応募があり、喜善賞が3点、特別賞1点が受賞。文化賞・喜善賞の受賞者たちには楯が、特別賞受賞者には賞状が授与され、会場から大きな拍手が送られました。

 遠野遺産活用事例報告では、遠野市文化課主任兼学芸員の黒田篤史が「文化財になった河童淵-遠野遺産と重要文化的景観-」と題して発表。遠野遺産に認定されている土淵町の蓮池川水域と、松崎町の太郎淵を紹介し、「カッパの住む風景は遠野と日本の“たからもの”。今後も地域みんなで守り、後世に伝えていきましょう」と呼びかけました。

 カッパおじさんに聞け!「河童淵今昔物語」では、2代目カッパおじさんである運萬治男さんが釣り竿に麦わら帽子といういつものスタイルで登場。会場のお客さんに「河童を見たことがある人は?」と問いかけると「はい!」と一人の手が上がりました。運萬さんも驚いて、「ありゃ~、日本で唯一生きた河童を見たことがある人が俺の師匠の初代河童じいさんなんだよな。お客さんが見た河童は何色?緑?良かった。遠野の河童は赤いからね。」とお話しがスタートしました。
 カッパおじさんは、生きるために一番大事なものは食べ物。食べ物作りに必要なのは、お天道様と水とお年寄りの知恵で、この水の部分に大きく関係するのが河童。川を汚さない、綺麗にする、大切にする。このことが守れない子どもには河童が出てきて御仕置をする。このような話が子や孫に語られ、川、そして水の大切さが伝えられてきたのだと語りました。
さらに、「河童は会うものですよ。見るものじゃない。よく、河童淵に河童を見に来たと言う人がいますが、見に来るところじゃない。いると信じている人には河童さんは必ず会いにきます。この河童さんが会いに来るのを待たなきゃないんですよ。俺15年待ってるけどなかなか来ないんだよね」とカッパおじさん節を発揮し、会場を楽しませていました。

 パネリストに遠野文化研究センター顧問の三浦佑之さんと西舘好子さんを迎え、赤坂所長をコーディネーターに「遠野はなぜ河童なのか」をテーマにトークライブを行いました。
 赤坂所長は今回のテーマは物凄く難しいと前置きし、「メドチ、メドツと遠野の人が認識していた河童的なもののイメージやイマジネーションが、河童という共通項で支配されていくことによって色んなものが失われた。しかし失われなかったものとして、遠野の河童は顔が赤いという特徴が残った。河童は江戸東京の出版文化が絡め取ったもので、その時に削り落されてしまったものが沢山あったと思うが、遠野だとそれが記憶として繋がっている、そういうこともあるのかなと感じます」と話しました。
 三浦顧問は、そもそも“河童”という言葉は標準語であり、もしかしたら喜善は“メドチ”という呼称しか知らなかったのかもしれない。柳田国男が遠野物語で河童という言葉を使っているのは、喜善がそう語っていたというよりも、柳田が翻訳して河童にしたのではないか、と考察し、「河童が言葉の上で出来てきたことと、イメージとしての河童が次第に妖怪的な恐ろしい神、あるいは恐ろしい妖怪からだんだん可愛らしい姿に変化して、その恐ろしさをどんどん剥ぎ落していったこと。それらが連動してひとつの河童像が現代に繋がっていった。そんな大きな流れが遠野物語以降、遠野と河童にはあるのだと思います」と話しました。
 西舘顧問は、河童というものを昔から今の生活に生き続けさせたものは何かという点に注目し、「飢饉という、我々にはあまり経験のない苦しい時代が遠野にはあった。そこで人は生きるためにどうするかというと、悲しい話もつらい話も貧しい話もどこかに転化します。それは人間の知恵であり、根本的に救われるものを作り出すその知恵の産物として河童がいたんじゃないか。そういうことを私は感じます」と述べました。
 さらに、「自然に対する畏敬、人智が及ばないという感覚。遠野はそれらを守り続けなければいけないのではないでしょうか。そうなると遠野に河童がいるっていうことは凄くいいことのように思います」とそれぞれ見解を述べ、遠野のカッパについてさらに理解が深まりました。

 最後に遠野市の公式キャラクターであるカリンちゃんとくるりんちゃんも登場し、カッパおじさん交えて大抽選会が開かれました。クリアファイルやカッパ手拭いといった豪華景品をゲットした当選者からは喜びの声があがり、会場は大いに盛り上がりをみせました。

 

新規遠野遺産 

151 月山神社(旧胡四王薬師堂)・・・綾織町第7区自治会
152 蘭場の山神神社(蘭場産神宮)・・・下郷地区自治会
153 上宮守西風の石碑群・・・上宮守文化振興会
154 中斉駒形神社・・・達曽部第5区自治会
155 上宮守神楽・・・上宮守文化振興会
156 湧水念仏・・・達曽部第7区自治会
157 迷岡駒形神社と一里塚・・・迷岡自治振興会

認定証 集合

おじさん トークライブ

抽選会

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