mark 山口集落の景観点検

土淵町の山口集落は、「昔話」という言葉を日本で初めて使った佐々木喜善の生まれ育った土地であり、柳田國男の『遠野物語』にも山口集落を舞台にした昔話が多く登場します。 「三陸沿岸部に通ずる街道沿いに発達した居住地で,物語の題材となる説話を柳田國男に語り伝えた佐々木喜善の生家や,かつて老人が共同で余生を送ったと伝わる「デンデラ野」及び囚人の処刑地伝説が伝わる「ダンノハナ」といった居住地周辺の霊地など,説話の舞台となった場所が良好な環境のもとに継承されている。(文化庁HPより)」として、国の重要文化的景観に選定されています。 この景観を守るため、地元の方々を始め多くの人が関わり、様々な環境保全の活動を行っています。 今回は自治会の方々と岩手大学の学生さんと一緒に、デンデラ野、ダンノハナ、水車小屋の景観点検をしてきました。

デンデラ野

ダンノハナからの眺め

水車小屋

茅葺屋根の水車小屋は、山口集落のみならず遠野を代表する風景のひとつでもあります。しかしこの屋根の茅材はだいぶ痛んでいて、葺き替えを望む声が寄せられました。土台や木樋、外壁なども問題ないかを点検確認して昼の部は終了しました。
夜の部は、山口自治会館に集まって昼にチェックした問題点について意見を出し合うワークショップが行われました。
「現在は水を流しているだけの水車小屋を再び粉ひきや藁打ちに活用できないか」「開けっ放しの戸を、開け閉めができやすいように工夫したものに替えられないか」「外壁は現状の板材のまま、修理が必要になったら裏側から直すようにしたい」「いや、板材を新しく変えれば、今後長く使える小屋になるから変えたほうがいい」…などなど、活発に意見が交わされ、地域の人たちの関心の高さが伝わってきました。
この景観点検やワークショップは一度きりではなく、今後も数回予定しています。地域の方々が愛着と誇りを持つ景観維持のための、より良い活動の場になればと思います。

遠野の素晴らしい景観は、このように多くの方々の熱心な活動によって保全・活用されています。
観光で訪れる際にはぜひ、この景観を守り伝えようとする地域の方々の愛情や熱意にも思いを馳せていただきたいなあ、と思います。
【松浦】

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mark 綾織町の石碑調査を実施中!


遠野文化研究センターの熊谷です!初めての書き込みです!よろしくお願いします!
私たちは現在、綾織町の石碑調査を実施しています。
「石碑調査」とは、皆さんの家のまわりや道端でも目にする石(下の写真のような)が、いつ、どんな目的で設置されたのかなどを調べるものです。さてさて、どうやってそれらの石碑を探しているのかというと・・・歩いて草を刈りながら探したり、車に乗りながら探したり、地道な作業なんです。長い年月を経て磨もうして見えなくなってしまった文字などは、手の触感で感じとったり、雑草を擦り付けて文字を浮かび上がらせたりするなど、結構力技も使っています!


このような石、よく見かけることはありませんか?


雑草を擦り付けると・・・このとおり、くっきり文字が見えるようになります!



昨年は土淵町の石碑を調査し、258基を確認。しかし私たちが見つけられないだけで、まだまだたくさんあると考えています。土淵町の調査結果はこちら↓↓↓
平成25年度 土淵町石碑調査中間報告書〈PDF〉
私の家にこんな石碑があるけど結果に載ってない!文字が間違っている!など、どんどん情報をお寄せください!
  
調査の様子。石碑のハンドブックを片手に文字を調査。寸法も記録しています


ところで『遠野物語』序文には「路傍に石塔の多きこと諸国その比を知らず」とあります。著者の柳田国男も石碑が多いことに驚いていたようです。私の出身地である一関市と比べてみても、遠野はやっぱり石碑が多い印象があります。同じ岩手県なのにこんなに多い理由ははっきりと分かっていません。ただ、現在も廃校の碑、俳句を刻んだ碑、タイムカプセルの碑など実にさまざまな石碑が設置されており、増加している事実はあります。ここから察するに何か記念すべきことがあれば、石碑を設置する意識が遠野の人々に根付いているのかも・・・しれません。が、推測の域を出ないのでこれ以上はやめておきます。

それでは綾織町内で調査中の私たちを見かけたら、石碑の情報提供などしていただければと思います!ご協力よろしくお願いします!
熊谷 航(くまがいわたる)
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mark 石碑調査で山登り

 先日、土淵町山口の象坪山(ぞうつぼやま)にある愛宕(あたご)神社の石碑を調査しました。ふもとには石碑が13個ありました。種類としては「馬頭観世音」、「雷神」が多かったです。

象坪山ふもと

 その後、象坪山を登りました。熊用心のための熊鈴をつけていきましたが容易に登らせてくれないなかなかの急斜面で、後日太ももが筋肉痛になりましたが、その甲斐もあり、頂上で勝軍地蔵を見つけました。愛宕信仰は火防の神として中世後期に全国に広がった信仰であり、現在も人が訪れている様子が確認できました。

頂上の勝軍地蔵です


頂上からの景色は綺麗でした。

【菊池】


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mark アーカイブズ・カレッジ見学

11月11日~16日に遠野市立図書館で、国文学研究資料館主催の「アーカイブズ・カレッジ」が開催されました。このプログラムの中で、15日に行なわれた「アーカイブズの保存修復」という講義を見学しました。

アーカイブズ・カレッジは、アーカイブズ(記録史料)の収集・整理・保存・利用等に関する専門的知識、技能を学ぶ講義です。

見学させていただいた講義は、破損した文書資料の2種類の修復方法の実演でした。

1つ目は破損した資料の裏に、小麦粉でんぷんのりで和紙を貼る「裏打ち」という方法です。この方法は、遠野文化研究センターでの文化財レスキュー活動で私たちも行なっていますが、講師の正確な処置と丁寧な説明に、改めて勉強になりました。

                                   裏打ちの様子

2つ目は資料を専用の台に乗せ、紙繊維を混ぜた水を流し込んで吸引し、資料の欠損部を埋める「リーフキャスティング(漉き嵌(は)め法)」という方法です。水を流し込む前にも、資料に傷をつけないようにピンセットでシワを伸ばす等、高度な技術を要する作業で、1日にできる資料は60枚ほどということですが、思った以上の資料の仕上がりに感動しました。

         資料を整える       紙繊維を混ぜた水を流し込む

吸引器で余分な水を吸い取る

短い時間ではありましたが、普段では出来ない貴重な体験をすることができました。今回の体験を、今後の活動に活かしていきたいと思います。

【伊藤】

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mark 佐々木喜善の言葉

 今回の石碑調査では、伝承園の中にあるこの石碑に注目しました。

佐々木喜善の石碑

この石碑には『遠野物語』の話者、佐々木喜善の言葉が書かれています。拡大してみてみると…

喜善の言葉

「広い日本の中には実際どんな珍しい宝玉が埋没されて居るか それを掘り起さねばならぬと思ひます 佐々木喜善」と書かれています。この言葉は、日本で初めての昔話である『江刺郡昔譚』の序文の一節です。前文に「このように狭いごく普通な群の内にも、すでにこれだけの話があるものだということを、みんなに知って貰ひたい」とあるので、文脈からいえば、「宝玉」とは昔話、民話のことだと思います。

【菊池】

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